006 母のものと向き合うということ
たまたまこんな記事を見つけて、思わず読みふけってしまった。
2人分の遺品が残っていた父の実家は、両親2人がかりで2年以上かかってようやく片付いた。父の実家が一段落したところで、今度は自分が母の遺品を片付ける立場になってしまった。
読み進めていく中で自分も肝に銘じておかなくては!と身につまされたのがこの言葉。
「遺品整理とはすなわち、想い出に優先順位をつけることです。その際に、明確な三つの基準を設けておくと、迷うことが減ります。それは『必要なもの』『捨てるもの』『保留』。その三つに分けて整理するといい。
遺品の片付けが進まないのは迷うから。迷うと時間と体力をどんどん消耗してしまいます。なので、少しでも迷ったら『保留』としてまとめておき、後で考えるのがコツなんです」
ー日本ホームステージング協会代表理事 杉之原冨士子氏
自分の持ち物を処分するだけでも迷うというのに、もう亡くなってしまった人のものを処分するのに迷わないわけがない。
全てがその人へ繋がるもののような気がしてなかなか前に進めない。
母のものと向き合うということ、それは、母と向き合うこと。
母のものを少しずつ処分しながら思い出に優先順位をつけることで、いつか母と決別できる日が来るのだろう。
母の死を止められなかった自分を受け入れられる日がきっと来るのだろう。
1年前、母が何を考えていたのか知りたくて、家じゅうを探し回った。
あまりの母の気配の濃さに、なんども押しつぶされそうだった。と同時に、母が確かに生きていた証に囲まれて安らかな気持ちでもあった。
次の帰省で私はきっと、ちゃんと母と向き合える。母の死と向き合える、そんな気がする。
きちんと母のものと向き合うことで思い出に優先順位をつけて、
私なりに前を向くことが最初で最後の親孝行になるはずと信じている。